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2024.03.01
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ベトナム、UNDPと共にCOP28のサイドイベントを開催、マングローブによるブルーカーボンの隔離向上を目指す

"Women in Conical Hats Sitting in Canoe in Lake" by Quang Nguyen Vinh

ベトナムの農業農村開発省(MARD)と国連開発計画(UNDP)は2023年12月10日、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)のサイドイベントとして"Enhancing Blue Carbon Sequestration from Sustainable Management of Coastal and Marine Natural Resources"(仮訳:「沿岸・海洋の天然資源の持続可能な管理によるブルーカーボンの隔離の向上」)と題したワークショップを開催しました。

ワークショップには世界各国の指導者や環境関連の専門家が集まり、気候変動緩和策や持続可能な経済開発に関する知識や経験を共有し、ブルーカーボンをさらに隔離していくための戦略を提言しました。さらに、海洋資源と農業開発のための、養殖サプライチェーンにおけるカーボンフットプリントのトレーサビリティ(追跡可能な状態にすること)と解決策について議論を行いました。

ベトナムは気候行動計画におけるマングローブ林の重要性を認識しており、この非常に重要な生態系の保護を約束していますが、十分な知識やモニタリングのシステムがなく、急速な沿岸開発や汚染の影響もあり、こうした生態系の管理において課題に直面しています。

基調講演者の1人であるUNDPのGlobal Technical Specialist-Climate and Forests(仮訳:「気候と森林」チームの国際技術専門家)のKimberly Todd氏は、ベトナムを含む発展途上国での包括的なブルーカーボン・アカウンティング(ブルーカーボンを定量化する方法の一つ)の枠組みに関する情報強化の取り組みを支援するコミットメントについて確認するとともに、マングローブを含む陸域部門で「国が決定する貢献」(NDC)を効果的に実践できる総合的なチェックリストを紹介しました。

ほかの基調講演者たちは、沿岸コミュニティだけでなく国と世界の経済に計り知れない恩恵をもたらすマングローブの保護と復元の極めて重要なつながりを強調しました。こうしたメリットは、単なる環境および気候の緩和策にとどまらないほど大きいため、一刻も早くブルーカーボンを国と世界の気候変動政策の主流とする必要があります。

ベトナム林業局の代表者であるNghiem Phuong Thuy氏は、「2021~2030年の気候変動に対応した沿岸林の保護と開発およびグリーン成長の促進」に関する計画の実行について、進捗状況を報告しました。それによると、首相決定「Decision No. 1662/QD-TT」に従って、マングローブの植林と復元に関する複数の技術的なガイドラインおよび基準が承認され、2021~2022年の間に6千ha以上のマングローブの植林と30万本の植樹が行われましたとのことです。

ベトナム水産経済計画研究所(VIFEP)の副所長であるCao Le Quyen博士は、メコンデルタでの自然を基盤とする養殖エビのカーボンフットプリントのマッピングについて説明しました。この研究は、エビと米、エビとマングローブという組み合わせの統合型養殖システムが、ブルーカーボンの転換に大いなる可能性をもたらすという有望なエビデンスを提供しました。ほかのエビ養殖法と比較すると、統合型のエビ生産による温室効果ガス排出量が大幅に削減されたのです。

このサイドイベントは、海洋生態系の保護における共同行動と持続可能なやり方の重要性を強く再認識させるものとなりました。議論によって、海洋を守るための将来的な取り組みに向けた準備が整い、地球と将来世代の健康のために、ここでの決定が果たす極めて重要な役割が強調されました。


<参照情報>
Viet Nam and UNDP Convene Global Experts to Discuss Insights on Enhancing Blue Carbon Sequestration and Sustainable Coastal Management
https://www.undp.org/vietnam/news/viet-nam-and-undp-convene-global-experts-discuss-insights-enhancing-blue-carbon-sequestration-and-sustainable-coastal-management

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