国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations 以下FAO)は、2023年12月22日、International Forestry Reviewに掲載された研究で、同団体とミャンマーの森林研究所の研究者らが、ミャンマー内のマングローブ林の炭素貯留について新たな見識があったことをウェブサイトで紹介しました。この記事ではマングローブ林が他の森林タイプよりも炭素貯留においてはるかに効率的かつ効果的であるという仮定を確認しています。
ミャンマーは東南アジアで2番目に広いマングローブ林の面積を有しているにも関わらず、森林伐採と劣化が進んでいます。この研究では、マングローブ林の炭素含有量に関する包括的なデータを提供することで、知識のギャップに対処しています。今回の主な発見は以下5点です。
- 炭素密度 以前の推定を上回る:研究によると、マングローブ林の炭素密度は、ミャンマーにおける2018年森林参照レベル(FRL)の排出係数として使用された値より11〜12倍高いことが示されました。
- 劣化が深刻なマングローブ林のレジリエンス:劣化が深刻なマングローブ林でも、主に土壌と堆積物において、かなりの量の炭素を貯蔵していることが発見されました。これは劣化した生態系は炭素貯蔵に寄与しないという一般的な認識に挑んでいます。
- 排出係数の更新:研究は、新たな発見に基づいて更新された排出係数を提供し、これらの係数を地域ごとの生物区分または管轄区ごとのREDD+プロジェクトやプログラムへ適用できるようにします。これは、将来の国内および国際的な炭素会計および取り組みの報告に大きな影響を与える可能性があります。
- マングローブ種の地域差:研究により、マングローブ種の出現における地域間の違いが明らかになりました。タニンダーリ地域とエーヤワディ地域を比較すると、十分に成長したマングローブがタニンダーリ地域でより頻繁で広範囲に存在することが明らかになりました。この情報は、対象となる保全および復元戦略の開発に役立ちます。
- キャリブレーションのためのバイオマスストック評価:クラスターおよびプロットレベルでの物理空間の位置に関連付けられたバイオマスストック評価は、宇宙から得られるマングローブ林のデータや画像を利用して作成されるモニタリング製品によるバイオマスモデルのキャリブレーションにとって極めて重要である可能性があります。これにより、人工衛星に基づくバイオマスの評価の精度が向上し、より良い情報を元にした保全活動が促進されます。
FAOは、更新された排出係数、とりわけ土壌有機炭素の含有を考慮すると、マングローブ地域が従来よりも炭素隔離においてより重要な役割を果たすことを研究結果が示していると語っています。
<参照情報>
Food and Agriculture Organization of the United Nations REDD+ Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation News “New study uncovers surprising carbon wealth in Myanmar's mangrove forests”
https://www.fao.org/redd/news/detail/en/c/1674948/