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2024.01.25
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海藻養殖による二酸化炭素回収の実現可能性には課題も

"Yellow Seaweed in the Sea" by Kindel Media.

海藻養殖は、炭素の隔離と気候変動の緩和を見込める解決策としてうたわれています。しかし、気候変動の目標達成には、大気中の炭素を年間で2.5から13ギガトン取り除くだけの広大な海域が必要とされており、それを踏まえると世界の海藻養殖による炭素隔離の解決策としての実現可能性に疑念が生じるとする新たな研究論文が発表されました。

この論文は、2023年6月15日付で学術誌”Communications Earth & Environment”に掲載されたものです。

海藻は、光合成により二酸化炭素を有機バイオマスに変換し大気中から二酸化炭素を取り除きます。しかし、海藻利用による炭素回収の有効性に関する世界的な予測はそのほとんどが、特定の数か所の観測結果を世界全体に拡大して推測したものです。

研究者らは、Global Macroalgae Cultivation Modeling Systemによる予測を分析し、世界の海洋全体にわたる異なるレベルの栄養利用性と海洋条件の下、海藻の潜在的な生産性と収穫可能なバイオマス量を予測しました。そして、世界の海洋全体の栄養利用性と海洋条件を考慮したさまざまなシナリオを提示しました。

その結果、年間1ギガトンの炭素回収を海藻利用によって達成するには、最も生産性の高い、主に太平洋赤道域に位置する排他的経済水域で100万平方キロメートル(386,102平方マイル)以上の養殖が必要になるであろうとしています。

こうした赤道域以外では、海藻の成長や生産性にばらつきがあるため、同量の炭素除去を達成するには3倍の養殖エリアが必要になるとしています。さらに、海藻の生産性を維持するには、深層水から栄養を取り込む”depth cycling”などの技術による栄養の補給が不可欠としています。

著者らは、海藻養殖による炭素除去の潜在性を有意義に評価するためには、海藻の成長潜在性に世界的なばらつきがあることを「理解し、今後の研究が海藻養殖の改良に向けられる必要がある」と提案しています。


<参照情報>
Study: Large-scale seaweed farming for carbon capture ‘may not be feasible’
https://www.globalseafood.org/advocate/study-large-scale-seaweed-farming-for-carbon-capture-may-not-be-feasible/
Large global variations in the carbon dioxide removal potential of seaweed farming due to biophysical constraints
https://www.nature.com/articles/s43247-023-00833-2

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