福井県立大学は2024年2月15日、藻場による二酸化炭素吸収やその後の長期貯留機構を解明するための「先端的分析技術・実験技術の開発と応用」に取り組むことを発表しました。これまでブルーカーボン効果が不明であった大型褐藻類を中心に、研究を進めます。
日本海沿岸域には、今回の研究対象である大型褐藻類の一種であるアカモクなどのガラモ類が大量に繁茂しています。ガラモ類によって吸収された二酸化炭素の長期貯留メカニズムは、大きく2つに分けられます。
ひとつは移送によるものです。ガラモ類は枯死や繁茂場所からの流出により流れ藻となって移動し、最後は深海底に移送され、その場に固定されます。今回の研究では、海底堆積物中にガラモ類がどの程度残されているかを定量的に調べるための、検出技術を開発します。
もうひとつは、ガラモ類の成長過程で排出される可溶性の有機炭素化合物が、海水中あるいは堆積物中に残存して貯留されるものです。こういった有機炭素化合物を定量する技術の開発も、今回の研究テーマのひとつです。
長い海岸線を持つ福井県の沿岸には、ガラモ類が多数繁茂しています。研究成果をいち早く取り入れることによって福井県下のブルーカーボン機能評価を進め、二酸化炭素吸収量を増やすような施策につながることが期待されます。
本研究は、科学技術振興機構が管轄する戦略的創造研究推進事業(CREST)の2023年度採択課題のひとつである、海洋研究開発機構の「海洋貯留による藻場吸収源デジタルツイン構築」にかかるものとして行われます。
<参照情報>
(1) 福井県立大学ウェブサイト
先端増養殖科学科濵口昌巳教授らによる地球温暖化防止に向けたブルーカーボン機能研究プロジェクトが始動します!
https://www.fpu.ac.jp/news/d000000zzzzzzzzzr.html
(2) 科学技術振興機構ウェブサイト
[海洋カーボン] 2023年度採択課題
https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/project/1111120/1111120_2023.html