
ブルーカーボン事業を通じて社会貢献できる企業を目指すJBP ブルーカーボンプロジェクトは2024年10月16日、千葉県館山市の波左間漁港で、房州ガスとともに藻場再生の実証実験プロジェクトを開始することを発表しました。漁港内の約2千平方メートルの海域を利用し、期間は最長で5年間です。炭化など環境保全に資する事業を展開する大木工藝が開発したOKハイブリッド炭漁礁「TRICLE(トリクル)」を用い、藻場の再生に挑みます。
トリクルは、鉄鋼スラグに炭化した下水汚泥を加え、高炉セメントと混合して固めたものです。鉄鋼スラグの鉄分と下水汚泥のフルボ酸が結合することで、海草や海藻の成長に必要不可欠な栄養素であるフルボ酸鉄ができます。固められていることによって、海中でのフルボ酸鉄の排出が抑制されるため、長期に渡って栄養素を供給することができます。
今回の実験では、1辺30センチメートルの三角錐の形状をしたトリクルが用いられています。コーヒー豆が入っていた廃棄麻袋にトリクルを入れ、その上にカジメの種海藻(ちぎれ藻)を入れてから紐で閉じ、海底に沈めます。麻袋に入れるのは、植食性魚貝類による新芽の食害を防ぐためです。麻袋の目には適度の粗さがあるため、植食性魚貝類は通れない一方で、光は通れるので、光合成を妨げることはありません。
比較検証ができるように、麻袋の中に金網を入れて中のスペースを確保したAタイプ、金網を入れていないBタイプ、トリクルを麻袋に入れないCタイプの3種類が用意され、海中に投入されました。ダイバーが定期的に潜水して観察し、藻場の再生状況を調べます。
本実証実験を実施するためには、地元の協力が必要です。かつて盛んだったアワビ、サザエ漁を主とした採貝藻漁業を復活させたいと願う波左間漁業協同組合(以下、波左間漁協)の理解を得たことで、当該海域の利用が可能となりました。波左間漁協は、海域利用調整、漁礁の投下作業や種海藻の調達などの役割を担っています。潜水しての観察も地元のダイバーが行うなど、地元と連携して実証実験が進められていきます。
2025年春には、1メートルの大型トリクルを投入することが予定されています。藻場の再生がどのように進んでいくのか、実験経過に注目です。
<参照情報>
(1) プレスリリース
株式会社JBP が房州ガス株式会社と千葉県館山市で 株式会社大木工藝のOKハイブリット炭漁礁を使った 世界初の藻場再生の実証実験を開始
https://japan-bluecarbon.com/wp-content/uploads/2024/11/%E8%97%BB%E5%A0%B4%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%AE%9F%E8%A8%BC%E5%AE%9F%E9%A8%93%E9%96%8B%E5%A7%8B.pdf
(2) プレスリリース
株式会社JBP ジャパンブルーカーボンプロジェクトが株式会社大木工藝と 藻場再生活動及びブルーカーボン事業の領域で業務提携
https://japan-bluecarbon.com/wp-content/uploads/2024/10/JBP-%E5%A4%A7%E6%9C%A8%E5%B7%A5%E8%97%9D%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9-2024-10-16.pdf
(3) エシカルファッション協議会ウェブサイト
【大木工藝】館山実証実験_メディア掲載に関する資料を公開します
https://ethical-fashion.jp/news_20250213_1/