鹿児島県奄美大島にある瀬戸内町は日本で唯一海峡を持つ町です。その大島海峡で、瀬戸内町水産観光課や漁業主導によるホンダワラの藻場を再生させるプロジェクトが現在進められています。この取り組みについて、株式会社オーシャナ代表で瀬戸内町地域活性化企業人の河本雄太さんからお話を伺いました。
プロジェクトのきっかけは海底清掃活動
この取り組みを始めたきっかけは2020年の新型コロナウイルスの感染拡大でした。感染拡大により観光業は大打撃を受け、廃業する業者もでてきました。瀬戸内町ではその支援策として、事業者に海底清掃を業務として発注しました。そうすれば業者を支援しながら、 新型コロナウィルスの収束後はきれいになった海でお客様を迎えることができます。
この海底清掃は、思いがけず、事業者からいろいろな話を聞く機会になりました。例えば「昔は藻が多くて、船のエンジンがかけられないほどだった」「もずくの養殖を始めたのは実は瀬戸内町が初めてだった」といった内容です。こうした話を聞いたことが、「昔あったホンダワラの藻場を再生しよう」というブルーカーボンのプロジェクトがスタートするきっかけとなったのです。
聞き取りからプロジェクトをスタート
具体的なプロジェクトは2021年3月から4月にかけて、昔、藻場があったところや、現在も藻場がありそうな場所について聞き取り調査を行うことからスタートしました。聞き取りを元に、2箇所にエリアをしぼり、潜水やビデオカメラでの撮影によって、現場を調査しました。その結果、白浜海岸でホンダワラが生息していることがわかりました。そして、その場所をネットで囲って食害から守る活動と、別の場所に母藻を移す活動を行いました。
2021年10月に同じエリアの海底を調査したところ、アマモの新芽も確認されるなど可能性があることがわかりました。ただし、もうすこし新芽が育ちやすいように、海底に岩地や砂地を作っていく必要があることもわかりました。また、ネットの設置についても、確実に食害を防げるように改善していくことや、ネットの手入れや観察の方法について考えていくことが、今後の課題です。
環境と環境の両立を目指して
もともと、このプロジェクトは、観光業を支援する取り組みから始まっています。これからも「環境」と「観光」の両立を目指し、例えば、環境教育として、藻場の再生現場を人々が海を楽しみながら見学できるような方向性を目指したいとのこと、今後の展開が楽しみです!
参考:本取り組みは、2021年11月3日に開催した「ブルーカーボンネットワーク設立記念シンポジウム」でもご紹介しています。
https://youtu.be/WnANPjxFFfw