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日本・世界の取り組み
2022.01.28
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神奈川県横浜市金沢区:コンブは地球を救うっ!!

一般社団法人里海イニシアティブは、横浜市金沢区を拠点として、「コンブは地球を救うっ!!」を合言葉に、昆布を使ったブルーカーボンの取り組みを進めています。
理事の富本龍徳さんにお話を伺いました。

横展開を期待して昆布を選択

取り組みを始めたきっかけは、磯焼けが日本全国で発生している状況を見たことでした。磯焼けとは、海藻が生い茂って藻場となっていた場所で、海藻が著しく衰退・消失してしまう現象です。海底が砂漠のようになっている状況を何とかしなければ、という思いで2014年に里海イニシアティブ設立準備委員会を発足させました。

昆布を使うことにした決め手は、国内の比較的広い範囲で栽培が可能なことでした。南北に長い日本列島は、気候もさまざまなので、植物によっては栽培できる場所が狭く限定されてしまいます。他地域にも同じような取り組みが広がってほしい、という願いを実現させるためには、昆布が最適と考えたのです。

昆布養殖の立ち上げ

2016年11月に里海イニシアティブが設立され、取り組みが本格的にスタートしました。取り組みを多くの人に知ってもらうためにも、育てた昆布を収穫して利活用することを考えたのですが、そのためには漁業権が必要になります。地元の漁師さん達の協力も不可欠です。

新たな取り組みについて理解を得ることは、簡単ではありません。それでも時間をかけて丁寧に対話を積み重ね、信頼関係を築いていきました。その甲斐あって、昆布の養殖を始めることができたのです。

昆布の種付けは、毎年11月中旬に行います。長いロープに定間隔で種を付け、養殖場の水中に沈めます。翌年に収穫するまでの間は、生育状況のモニタリングが欠かせません。船に乗って養殖場まで行き、種付けしたロープを船の上に引き上げ、昆布の長さや重さを測ります。

認知向上の取り組み

里海イニシアティブでは、より多くの人に取り組みを知ってもらうために、市民が参加しやすい仕掛けづくりをしています。『環境問題』と漢字4文字で書いてしまうと、とっつきにくい印象を持つ人も少なくありません。イベント形式で昆布の収穫を体験してもらうなど、柔らかいコンテンツにして参加を呼びかけ、関心を持ってもらえるよう工夫しています。

昆布は身近な食材です。昆布を使ったさまざまな食品を提供することにも、取り組んでいます。地元でブランド認定を受けたり、企業とのコラボ商品が生まれたりと、多くの人に知ってもらえるようになってきました。

今後の展望

「2020年3月からの1年半だけでも、20を超えるメディアからの取材を受けました。企業から声を掛けてもらう機会が増えているなど、ブルーカーボンの取り組みへの関心が高まっていることを感じています」と、富本さんは話してくれました。

「一方で、取り組みが他地域に広がっていない現状を何とかしたい、との思いは常に持っています。実績を重ね、横展開につなげていくためにも、昆布の利活用の範囲を広げるなど、工夫を凝らして前に進んでいきます。」

昆布をつかった取り組みはまだまだ発展途上、これからどのように広がっていくのか、今後が楽しみです。

参考: 一般社団法人里海イニシアティブ

ブルーカーボンに関する取り組み事例