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2022.06.07
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三重県:「鳥羽工法」を採用 海っ子の森による藻場再生の取り組み

三重県を拠点とする一般社団法人海っ子の森は、2010年から藻場の再生を中心にさまざまな活動を行っています。活動をはじめたきっかけは、藻場の消失です。代表理事の山下達已さんが久しぶりに地元の海に潜った際、藻場がなくなっていることに気づき、大きな衝撃を受けました。

藻場の再生は、天然の石にモルタルを塗って針金を張り付け、アラメやカジメなどの苗を固定する方法を取っています。まず大きくなるまで浅瀬で中間育成し、その後、海の中に植林しています。これは三重県鳥羽市水産研究所が開発した「鳥羽工法」と呼ばれる方法です。大きなテトラポットを設置するような方法と違い、自分たちの手で行えることが特徴です。

▼鳥羽工法とは(出典:一般社団法人海っ子の森ホームページ)
http://umikko-st.sakura.ne.jp/wp/wp-content/themes/umikko/tobakouhou.pdf

苗の中間育成や、生育調査、藻場管理などの活動は、漁師さん、ダイバーさん、地元のボランティアの方々など、いろいろな人の手を借りて行っていますが、高波で石ごと流される、食害や夏場の水温上昇で枯れてしまうなど苦労も多いそうです。

コロナの影響もあり、現在は海に潜る活動は控えているそうですが、子どもたちや市民の方と一緒に、海岸に漂着した海藻の観察や、海岸を清掃する活動を少人数で続けています。

新たな発見もありました。漂着した海藻を見て参加者から「こんなにたくさんの種類の海藻があるんだ!」という声があがったのです(三重の海には100種類以上の海藻があるそうです!)。この声から、それぞれの海藻の特徴を生かした肥料づくりの取り組みが始まっています。

肥料づくりには、海岸で収集した海藻を洗浄し、天日で乾燥させた後に、機械で粉砕する方法を採用しています。また海藻だけではなく、食卓から出た牡蠣の殻も粉砕して肥料にしています。海藻から作った肥料で安納芋を栽培して、芋掘りイベントを行うなど、海と陸をつなぐ活動もスタートしています。

子どもたちなど地元の方々と一緒に行う、「海」と「陸」をつなぐ持続可能な社会に向けた取り組み、さらなる発展を応援しています!

一般社団法人海っ子の森ウェブサイト
http://www.umikko.jp/

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