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2023.04.01
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ノルウェー:サケとコンブの複合養殖の実証実験、ノルウェー沖で開始

2023年2月、ノルウェーの水産養殖業Folla Alger社とCermaq社はノルウェー産業科学技術研究所海洋部門(SINTEF Ocean)と共同で、世界で初めてノルウェー北部のシュタイゲン諸島の洋上で、サケとコンブの複合養殖を開始しました。

この複合養殖施設では、サケとコンブを同じ海域で生産します。施設は24基の養殖用ケージを備えた従来型の養殖場として設計されており、内側のケージでコンブを育て、一番外側にある両端のケージでサケを養殖します。Folla Alger社とCermaq社はサケの養殖を行い、SINTEF Oceanは養殖施設にコンブの種苗を供給しています。

施設では複合養殖の効果を検証します。実証実験に参加する企業・団体は次のように述べています。

「同じ場所でコンブとサケの複合養殖を行うことで海域の有効活用が可能になり、価値創造が促進されることを目指します。サケから放出される栄養分がコンブの成長を促し、コンブの生育が最大50%向上することが分かっています。また、栄養塩が少ない時期でもコンブが栄養を摂取しやすくなります。さらに利点があるかどうかを調査します」(SINTEF Oceanの研究責任者Silje Forbord氏)

「サケの養殖もコンブの養殖も、どちらも将来有望な産業であり、グリーン・シフト(脱炭素社会への移行)に重要な役割を果たすでしょう」(Folla Alger社社長Tarald Sivertsen氏)

「サケの網棚から出る栄養分を資源として活用することも、代替飼料の原料を得ることも両方可能となる、すばらしい循環経済です。さらに、地域の価値創造とビジネスの発展に貢献し、地域の人々にプラスの影響をもたらします」(Cermaq社の生産部長Truls Hansen氏)

サケの網棚から放出される栄養素のうち、水溶性のものはコンブの肥料となり、コンブが成長すれば炭素吸収量も増加します。また、陸上の植物と同様、海中の炭素は光合成によって結合されます。このプロジェクトでは、複合養殖がどのように相互利益をもたらすのか、また、水中環境やサケの健康にどのような影響を与えるかを調べます。

Folla Alger社は、このプロジェクトの実施に当たり、ノルウエェーの漁業庁から研究開発許可を得ています。SINTEF Oceanは、ノルウェー科学技術大学(NTNU)およびノルド大学と協力して研究を行う予定です。


<参考情報>
Folla Alger and Cermaq start cooperation on kelp farming
https://www.cermaq.no/nyheter/folla-alger-og-cermaq-starter-samarbeid-pa-oppdrett-av-tareFolla

Alger
https://www.follaalger.no/

Cermaq
https://www.cermaq.no/

SINTEF Ocean
https://www.sintef.no/en/ocean/

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