国土交通省は2022年12月27日、藻場・干潟等及び生物共生型港湾構造物(以下、ブルーインフラ)の拡大を進めるため、「命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクト」をスタートさせることを発表しました。カーボンニュートラル実現への貢献や、生物多様性による豊かな海の実現を目指します。
プロジェクトでは、ブルーインフラの全国展開として、市民団体や企業の参加を促進するためのマッチング支援や普及啓発を進めます。また、クレジット制度等により藻場・干潟等の保全に関する活動経費の支援を行うなど、先導的な取り組みの推進を図るとしています。
これと並行して、ブルーインフラの保全・創出に関する環境整備として、藻場・干潟等の保全・再生・創出による社会経済効果の算出手法の確立や、港湾施設の設計・工事における環境保全への配慮に係る取り組みの強化も進められます。
プロジェクト発足にあたり国土交通省は、ブルーインフラの保全・再生・創出に関する主な取組事例集を公表しました。事例集では、4つの事例が紹介されています。
山口県徳山下松港・大島干潟
瀬戸内海で喪失した浅場の再生に資することを目的に、新南陽地区の航路泊地整備に伴い発生する浚渫土砂を活用し、約29ヘクタールの人工干潟を造成したものです。2003~2017年度にかけて国が干潟の整備を行い、その後、周南市が管理を実施しています。アマモ、コアマモ、ウミヒルモなどの豊かな藻場が形成されています。
北海道釧路港
防波堤背後の盛土上の起伏ブロックへの藻場の形成、環境改善を目指し、全長2,500メートルの防波堤を整備するとともに、泊地浚渫により大量に発生する土砂を利用して防波堤背後に盛土等が設置されました。海藻出現数が年々増加しており、多様な藻場環境が形成されています。
秋田県秋田港
秋田港にある大浜護岸は、ハタハタの産卵場所となる岩礁性藻場の形成等を目指し、2009年度に生物共生型の構造物として整備されました。アカモクの繁殖やハタハタの卵塊等、生物数の増加が確認されています。
高知県須崎港
鉄鋼スラグを活用した藻場の造成に関する実証実験を2015~2022年度にかけて実施されました。転炉系製鋼スラグと人口腐植土とを混合した藻場造成ユニットにおけるワカメの繁茂、転炉系製鋼スラグと高炉スラグ微粉末等を練り混ぜて製造した人工砕石におけるマクサの繁茂が確認されています。2023年度以降は、継続的なモニタリングが実施される予定です。
<参照情報>
【報道発表資料】命を育むみなとのブルーインフラ
https://www.mlit.go.jp/report/press/port06_hh_000265.html
「命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクト」について
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001580985.pdf
ブルーインフラの保全・再生・創出に関する主な取組事例集
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001580986.pdf
※写真は、上記の国土交通省 報道発表資料より