カナダに拠点を置くKlimat X Developments Inc.は、荒廃地や海洋生態系(マングローブなど)の新規植林や再植林によって、有効かつ検証済みのカーボンクレジットを開発している会社です。現在、西アフリカの国シエラレオネにおいてマングローブ林の大規模な復元および保全プロジェクトの開発に向けた取り組みが進められており、このほど最新状況が報告されました。これがうまく進めば、炭素市場でプレミアがつく高品質なブルーカーボンクレジットを最大4百万トン創出する可能性があるとしています。
シエラレオネのスカーシー川河口では、薪作りや農地転用のためにマングローブが伐採されたため、マングローブ林が全体的に劣化しています。同社は2022年後半、シルヴァストラム気候アソシエーツ(SCA)と協力し、危機に瀕し保全が必要なマングローブ林3,000haを最初のエリアとして特定し、劣化が激しく復元が必要なおよそ7,000haを特定しました。
SCAは、2023年第一四半期までに3回の現地訪問を終えて、保全エリアの地上および地下の炭素貯留量と、劣化エリアの大規模な復元の可能性について確認するとしています。Klimat Xは、約2,000haの調査と参加型マッピングを完了し、さらに「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(free, prior and informed consent: FPIC)」(「先住民族の権利に関する国連宣言」に明記されている先住民族の権利)を支持した拘束力のある契約(1,000ha超)を土地所有者との間で締結しています。
2022年末までに、地元のコミュニティで構成されたチームは、マングローブの胎生種子(マングローブの種苗)を採取し、最適な生長条件の把握に努めるため、15ha分の種苗を様々な試験場に設置された苗床に直接植樹しました。苗床では種苗が極めて順調に生長しており、大規模植樹および復元が実行可能であることが確認できるとしています。
育苗用の容器には捨てられた水袋が使われており、コスト削減だけでなく、捨てられればゴミとなり最後は海に流れ着いたかもしれない資材の再利用にもなっています。地元の人々による袋の回収は彼らの収入となり、本プロジェクトはすでに雇用機会を創出しています。
現在までに収集されたデータに基づくと、保全エリア(3,000ha)には1ヘクタールあたり少なくとも400トンの炭素が貯留されていると推定されます。マングローブ林を復元すれば、1ヘクタールあたり10~15トンのブルーカーボンクレジットの創出が可能で、最近のプロジェクトでは1トンあたり30ドルという高値が付いたそうです。
<参照情報>
KLIMAT X PROVIDES UPDATE ON PROGRESS WITH PLANTING AT THE SIERRA LEONE MANGROVE PROJECT
https://www.klimatx.com/post/klimat-x-provides-update-on-progress-with-planting-at-the-sierra-leone-mangrove-project