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2023.05.12
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欧州初!海洋環境の保護に特化した炭素会計手法をフランス政府が承認

国際的な気候コンサルタントのEcoAct社(本社UK)は2023年4月6日、フランスの企業・組織など3団体と共同で、気候の調整と生物多様性の保存に重要な役割を果たす海草藻場の保護に特化した欧州初の炭素会計手法を開発したことを発表しました。

フランス環境省の進める低炭素ラベリング(温室効果ガスの排出削減などに取り組むプロジェクトに対して、その効果に応じてプロジェクト毎に環境への効果や有効性を付与する制度)の一環として、同社らが南仏カランク国立公園の地中海沿岸地域の海底に広がる広大な海草藻場(ポシドニア・オセアニカ)を保護するために、2021年に立ち上げた研究プロジェクト「Prométhée-Med」の成果として示されたものです。貯留された炭素やポシドニア・オセアニカの効果的な保存に道を開くものとして、同国の環境連帯移行省エネルギー・気候総局(DGEC)の承認を得ました。

プロジェクトが実施されれば、年間で平均24,000tCO2eの削減が見込まれるとし、ベストプラクティスに沿った手法を確実に行うことで、科学が求める速度での気候変動対策の支援が可能になるとしています。

信頼性の高い炭素クレジットの提供を必要とする業界の重要なニーズにも合致しており、厳しい基準を保証することで、ネットゼロへの移行の加速やソリューションの拡大といった炭素市場の役割を十分に発揮するために必要な投資が得られるとしています。

ポシドニア・オセアニカは、保護種に指定されているにもかかわらず、十分に保全がされておらず、現在も毎年平均0.29%のペースで減少していると推定されています。

一方、プロジェクト実施による炭素排出削減のポテンシャルは年平均24,000tCO2eで、広さ80,000haを超えるとされるこの藻場による30年間での排出削減量は700,000tCO2eと見積もられています。現在までの同国における低炭素ラベリング制度のプロジェクトによる削減量465,000tCO2eと比較してもかなりの量になるとみられています。


<参照情報>
EcoAct:First-in-class carbon accountancy methodology for the preservation of the marine environment approved
https://eco-act.com/news/methodology-preservation-marine-environment/
EcoAct helps launch pioneering new methodology for preservation of seagrass
https://eco-act.com/carbon-offsetting/new-methodology-seagrass-preservation/

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