米国スミソニアンは、スミソニアン環境研究センター(SERC)の研究者たちが、中央アメリカのベリーズに生息するマングローブの炭素貯蔵量概算を全域規模で初めて出した研究結果を発表したことを、2023年2月8日にウェブサイトで公表しました。自然科学誌”Science of the Total Environment”で発表されたもので、全国的なマングローブのデータセットを開発するための国際的な試みであるベリーズ・ブルー・カーボン・プロジェクトとして出された初めてのデータです。
大気中から炭素を取り込み地中に貯蔵するマングローブは、世界中で120億トンの炭素を地中に貯蔵していると推定されています。しかし多くの国では炭素貯蔵量に関する現地のデータがありません。そのため、世界や地域の平均値に依存していて、貯蔵評価を過大または過少に評価している可能性があります。
ベリーズ・ブルー・カーボン・プロジェクト・チームは、2021年9月にベリーズ全体のマングローブ生態系を広範囲に抽出して炭素貯蔵量を推定し、収集したデータをマッピング作業から得たデータと組み合わせて、ベリーズで初めての全域的なマングローブ炭素貯蔵推定値を作成しました。その結果、約58,000ヘクタールのマングローブに、2,570万トンの炭素が含まれていることが分かりました。また、チームは政府、NGO、学術研究機関、地元の科学者を含むあらゆるレベルのステークホルダーと連携して、標準化されたブルーカーボンの抽出方法に関する知識を共有し、データ共有のための道筋を作り、新たな取り組みの拡大に協力しました。
今回の総炭素推定値によって、これまでの世界や地域の平均推定値と大きく異なっていることが分かり、ほかの国でも同様の作業が必要であることが明らかになりました。同センターはベリーズ以外の国でもこのモデルを使って、ブルーカーボンの吸収源を保護に対するサポートを確立することが可能だと述べています。
<参照情報>
スミソニアン研究所「Getting to the Root of Blue Carbon Storage in Belize’s Mangroves」(ウェブサイト)
https://www.si.edu/newsdesk/releases/getting-root-blue-carbon-storage-belizes-mangroves