イングランド南西部に位置するコーンウォール州沿岸のセント・オーステル湾に、同州最大となる海草藻場が形成され、その大きさが英国で知られる海草藻場の中でも最大級であることが、コーンウォール・ワイルドライフ・トラスト(野生生物保護団体)とナチュラル・イングランド(政府外公共機関のひとつ)が2023年4月に発表した報告書により明らかになりました。
これは、2021年にコーンウォールで開催されたG7サミットで首相が発表した大規模プロジェクト「自然回復のためのG7レガシープロジェクト」の一部である「セント・オーステル湾ブルーカーボン・マッピング・プロジェクト」の調査で発見されたものです。
音響測深器を搭載した調査船による調査を実施した結果、同湾沿岸の潮下帯に359.1haに広がるブルーカーボン吸収源の生息地が確認されました。この調査では、これまで記録が少なかった、浅瀬で花を咲かせ光合成を行うまるで草原のような海草の生息地や繊細でもろく珊瑚のようなピンク色のミール(Maerl)と呼ばれる藻類の群落の探索に焦点があてられていました。
音響マッピング以外にも、ボランティアらによるダイビング調査によって、122種類もの動植物が発見され、この水域が生物多様性にとって極めて重要であることが証明されたとしています。さらに、希少な鼻の短いタツノオトシゴや経済的価値のあるホタテ貝も複数発見されています。
英国の海に、今よりずっと豊かな海洋生物が生息していた産業革命以前の時代、同国の大部分が海草藻場に囲まれていたと考えられており、従って今日このように大きな藻場が発見されたことは祝福に値するとしています。
コーンウォール・ワイルドライフ・トラストの海洋保全オフィサーであるアビー・クロスビーは次のように述べています。「このプロジェクトの実施は、セント・オーステル湾水域におけるブルーカーボン吸収源の生息地の範囲とその質を理解するための重要な第一歩をもたらしました。将来にわたってあらゆる海洋生物と沿岸地域に利益をもたらすこれらの貴重な海洋生物の生息地を確実に保護するために、地元の人々をはじめ海洋ビジネスや政府機関に至るまで幅広い人々と共同で取り組むことに期待しています」
<参照情報>
One of the UK’s largest known seagrass beds discovered in St Austell Bay
https://www.cornwallwildlifetrust.org.uk/news/one-uks-largest-known-seagrass-beds-discovered-st-austell-bay
Blue carbon mapping project
https://www.cornwallwildlifetrust.org.uk/sites/default/files/2023-04/Blue%20Carbon%20Mapping%20Project.pdf