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2023.11.06
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オーストラリアの熱帯地域で初の大規模海草再生プロジェクトがスタート

Photo by Arun Clarke on Unsplash

豪ジェームズ・クック大学は2023年8月24日、ケアンズなどのオーストラリアの熱帯地域で、初めての大規模な海草再生プロジェクトを開始すると発表しました。このプロジェクトは、10年以上前のサイクロンとラニーニャの気象事象によって壊滅的な被害を受けた400ヘクタール以上の海草藻場を再生するもので、研究者やボランティアによって、今後4年間で数千の海草片が植えられ、50万以上の種子がまかれる予定です。

プロジェクトは、伝統的所有者グループ(オーストラリアの先住民団体)、慈善団体OzFish Unlimited、地域のコミュニティと協力して実施され、オーストラリアに本拠を置く資源会社、BHP社のブルーカーボングラントプログラムから資金提供を受けています。

海草は、ジュゴンやウミガメの餌として、またエビや魚のために欠かせない生育場として重要です。また、海草は大気中の炭素を最大35倍速く捕捉する能力があり、沿岸海洋における強力な存在です。プロジェクトでは、海草の再生に加え、ブルーカーボンの増加の効果を計測し、魚類資源の回復をモニタリングする予定です。

この取り組みには、伝統的所有者のパートナーグループ(Gimuy Walubara Yidinji、Dawul Wuru、Goondoi、Mandubarraなど)が協力し、先住民たちの「海国(Sea Country)」の財産権を保護します。プロジェクトの成功には、ボランティアやコミュニティからの積極的な支援が欠かせません。9月には、現地で海草の種まきの準備を手伝うためのイベントが開催される予定です。プロジェクトでは、海洋生態系の健全性を回復させ、沿岸コミュニティのレジリエンスを向上させることを目指しています。


<参照情報>
Large-scale seagrass restoration takes root in Tropical Australia
https://www.jcu.edu.au/news/releases/2023/august/large-scale-seagrass-restoration-takes-root-in-tropical-australia

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