Initiatives

日本・世界の取り組み
2023.11.10
Share x facebook

世界銀行:ブルーカーボンへの投資拡大のため、各国政府に向けて実践的な枠組みを提供

世界銀行グループは2023年9月11日、ブルーエコノミー開発の一環として、各国政府に向けて、ブルーカーボンへの官民投資を促進し、その規模を拡大する際の指針となる実践的な枠組みを提供するレポート“Unlocking Blue Carbon Development: Investment Readiness Framework for Governments(仮訳:ブルーカーボン開発の実現へ:各国政府向け投資準備フレームワーク)”を発表しました。

本レポートは、ブルーカーボンのための準備フレームワーク(Blue Carbon Readiness Framework)について、段階的に、図解入りの簡単なチェックリストとともに詳細に説明しています。この図解とチェックリストを活用することで、各国政府はブルーカーボンのクレジット・ファイナンスへの投資に対する促進や規模拡大の準備ができているかどうかを判断できるとしています。その準備フレームワークは3つの柱で構成されています:

  • 第1の柱「ブルーカーボン生態系の行動に関する科学的根拠(scientific basis for action on blue carbon ecosystems)」
    ブルーカーボン生態系が提供する生態系サービスや、確立されたブルーカーボン(マングローブ、海草藻場、湿地)および新興のブルーカーボンが行動可能な状態(actionable status)であることの根拠について、包括的に説明しています。

    ブルーカーボン生態系の生態学的、経済的、社会的重要性について、なかでも炭素の隔離について説明するとともに、これらの生態系の脅威と劣化の要因を強調し、劣化の対策と復元に取り組む最近の傾向についても議論しています。また、ブルーカーボンの行動を査定するため、および温室効果ガスインベントリを見積もるための基準も示されています。
  • 第2の柱「ブルーカーボンのための政策および制度環境の構築(Building a Policy and Institutional Environment for Blue Carbon)」
    各国が、ブルーカーボンへの投資を促進・拡大させるための目標と道筋を設定するための政策の要点が示されています。気候変動緩和に向けた各国のコミットメントは異なるものの、この章では国際的に最適な政策コミットメントについて、政策決定者に情報を提供できるとしています。特に、NDCs(国が決定する貢献)は多くのブルーカーボンへの投資が基盤となっている取り組みだとしています。
  • 第3の柱「ブルーカーボンのための財源の動員(Mobilizing Finance for Blue Carbon)」
    各国政府がブルーカーボンへの投資に必要な公的および私的な資金調達を推し進めるための手法(エントリーポイント)について、様々な資金調達方法をその特徴とともに示しています。また、ブルーカーボン価格の傾向やパリ協定にもとづく今後の排出権取引の機会、資金調達の新たなアプローチについても議論されています。

<参照情報>
Publication: Unlocking Blue Carbon Development: Investment Readiness Framework for Governments
https://openknowledge.worldbank.org/entities/publication/304fe159-e9ea-40ef-b568-fa6e8e992bb4

ブルーカーボンに関する取り組み事例