健全な海洋のための研究の効率性と影響を高めることを目指す汎欧州の政府間プラットフォーム、JPIオーシャンズ(Joint Programming Initiative Healthy and Productive Seas and Oceans)は2023年4月、欧州全体の海洋研究と持続可能性を強化するため、ブルーカーボンを新たな共同行動として採択しました。
この新たな共同行動は、フランスとアイルランドの主導のもと、EUの最遠地域と海外領土を含むヨーロッパ全域のブルーカーボン生態系に関する知識を統合、交換、促進することを目的としています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、ブルーカーボンを「管理可能な海洋系における生物学的由来の炭素フラックスと貯留のすべて」と定義しています。主に塩性湿地、マングローブ林、海草藻場など、植生沿岸域のブルーカーボン生態系(CBCE)の研究から得られる知識によれば、これらの生態系は二酸化炭素の吸収と貯留を通じて気候変動を和らげる役割を果たしています。
しかし、植生沿岸域のブルーカーボン生態系は海面上昇や人間活動による影響によって脆弱になっており、その保全が重要です。大型藻場や泥の平瀬など、他の海洋生態系もCO2の捕捉と貯留に不可欠ですが、その測定と科学的不確実性が課題となっています。これらの生態系が国の温室効果ガスインベントリに正確に組み込まれていないことも指摘されています。
この共同行動は、CO2貯留の潜在性を示す地図の作成などの革新的な成果物を提供して科学者、政策立案者、企業、地域社会の協力的で学際的なアプローチを促進し、欧州全体での植生沿岸域のブルーカーボン生態系に関する知識のギャップを埋めることを目的としています。
期間は2023年5月から2027年4月まで、知識の共有と交換を支援するナレッジハブも含まれています。この共同行動は、ブルーカーボンに関する知識のギャップに対処し、欧州全体での協力を強化することで、気候変動対策や自然保護に貢献することが期待されています。
<参照情報>
Blue Carbon : The Joint Action on Blue Carbon addresses blue carbon as a measure for climate mitigation by providing spatial knowledge products to support carbon removal action and policy.
https://www.jpi-oceans.eu/en/blue-carbon