国立研究開発法人水産研究・教育機構は2023年11月1日、海草・海藻藻場を対象としたCO2貯留量の算定方法に関するガイドブックを公開したことを発表しました。ガイドブックには、藻場タイプ・海域区分別にCO2貯留量を算定する具体的な方法が示されています。
ガイドブックをまとめたのは、水産研究・教育機構を代表機関とする共同研究チームです。東京大学大気海洋研究所、広島大学、港湾空港技術研究所、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター、徳島県、新潟県水産海洋研究所、京都府農林水産技術センターが参加しています。
ブルーカーボンには次の4つの長期貯留プロセスがあります。
- 有機炭素が藻場内の堆積物中に貯留される「堆積貯留」
- 藻場の外に出た後、浅場に難分解性成分が貯留される「難分解性貯留」
- 深海へ輸送されて貯留される「深海貯留」
- 海草や海藻の藻体が成長するときに放出される溶存態(水に溶けている状態)有機炭素のうち難分解成分が貯留される「RDOC」:RDOCは、難分解性溶存態有機炭素(Refractory Dissolved Organic Carbon)の頭文字です。
今回の研究では、これら4つのプロセスを経て貯留されるCO2量を算定する独自の手法を確立しました。
CO2貯留量を算定するためには、海草・海藻の現存乾燥重量1グラム当たりのCO2貯留量を表す吸収ポテンシャルの値が必要になります。日本の沿岸に分布するすべての海草・海藻種を、養殖も含め21タイプに分類し、さらに藻場の構成種や海洋環境の類似性から9つの海域に区分して、それぞれの吸収ポテンシャルを算定し、表にまとめています。
本ガイドブックは、CO2貯留量の算定方法概要を説明するとともに、具体的な算定方法をフローチャートで示しており、気候変動対策技術としてのブルーカーボンへの理解が深まることが期待されます。ガイドブックの内容は、今後の研究の進捗に合わせて更新され、追加の情報も発信されることが予定されています。
<参照情報>
海草・海藻藻場のCO2貯留量算定に向けたガイドブックの公開について
https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/press/pr2023/20231101_kaisou.html
海草・海藻藻場のCO2貯留量算定ガイドブック
https://www.fra.go.jp/gijutsu/project/fisheries_ecosystems/files/bluecarbon_guidebook2023.pdf