Initiatives

日本・世界の取り組み
2024.08.21
Share x facebook

SRN 気候変動目標にブルーカーボン会計を組み込むプロジェクトを公表

Photo by Ralff Nestor Nacor is licensed under CC BY-SA 4.0.

シンガポール国立大学の研究イニシアティブであるSingapore Research Nexus(以下SRN)は2024年2月5日、シンガポール国立大学のハオ・タン(Hao Tang)助教授の主導で進めている「シンガポールにおける国家気候変動政策のためのブルーカーボンの枠組み」(A Blue Carbon Framework for Singapore’s National Climate Change Policy  以下BlueCarbonSG)が、2023年から2026年にかけて国立研究財団と国立公園庁の海洋気候変動科学プログラムから資金提供を受けることを公表しました。このプロジェクトは、シンガポールの温室効果ガス報告および気候変動目標に対して、ブルーカーボンがどのように貢献できるかを示すために国家的なブルーカーボン会計を行うものです。

2021年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、主に12か国の小島嶼国がブルーカーボンを「国が決定する貢献」(Nationally Determined Contributions)に盛り込みました。これはシンガポールのような国が、気候変動政策にブルーカーボンを組み込む可能性を示唆しています。同国のブルーカーボンの生息地は小規模ですが、炭素密度が高いため、陸上生態系に比べて小さいスペースで炭素排出を相殺することができます。例えば、シンガポールのマングローブは、二次林の16分の1の面積で、シンガポールの全二次林の10%の炭素を貯留しています。これは特に土地が限られている国において重要です。

シンガポールは、自国の温室効果ガス排出量を2年ごとに国連に報告しています。2016年には開発プロジェクトによる二酸化炭素換算17.12ギガグラムの排出を報告しました。この数値にはブルーカーボンが考慮されていません。SRNはBlueCarbonSGによって、シンガポールは初めてブルーカーボンの定量的目標を既存の温室効果ガスの報告メカニズムに組み込むことができると語っています。小島嶼連合(AOSIS)を通じて、同様の国家的制約を持つ国々にも適用可能なブルーカーボン会計の枠組みも開発される予定です。


<参照情報>
Singapore Research Nexus “A Blue Carbon Framework for Singapore’s National Climate Change Policy (BlueCarbonSG) “(ウェブサイト)
https://fass.nus.edu.sg/srn/2024/02/05/blue-carbon-sg/

ブルーカーボンに関する取り組み事例