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2024.09.04
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EUの新プロジェクト、極地のブルーカーボンに関する研究を開始

"Water Filled Canyon, Greenland" by Ian Joughin is licensed under CC BY-NC-SA 3.0

GRID-Arendal(国連環境計画等の協力でノルウェー政府が設立した国際的な環境組織)は2024年2月1日、極地のブルーカーボンに関する事象を研究するSEA-Questerプロジェクトについて発表しました。

2024年2月1日から2028年1月31日までの4年にわたって実施されるこのプロジェクトは、EUの研究イノベーションプログラム「ホライズン・ヨーロッパ」の出資によるものです。

その目的は、「人為的な気候変動によって、極地の海洋環境で深刻化する物理的な変化および生物多様性の変化が、海洋の炭素循環という目に見えない世界にどのように関連するのか」、「それは将来的な変化に対する緩和、適応、レジリエンスにとって、どのような意味を持つのか」について、さらに理解を深めることです。

極地の海洋とその近隣の海域では、海氷の喪失、海面上昇、氷河の雪解け水と堆積物の流入、海洋酸性化の進行といった大きな物理的変化が起きているため、海洋の生物多様性への影響は、種の分布や行動、代謝の変化という形ですでに表れつつあります。SEA-Questerプロジェクトでは、こうした要因が極地(または極地のブルーカーボン)での海洋炭素隔離という極めて重要な生態系サービスに及ぼしている影響について、さらに調査を進めます。

グリーンランド、スバールバル諸島、南極海の周辺のフィヨルドや沿海で、モデリングとリモートセンシングによる観測を連動して行えば、炭素が沿岸生態系(ケルプ林など)から外洋に運ばれて吸収・貯留される様子を調査することができます。外洋では、プランクトン、魚類、底生生物が関連する生物学的なプロセスが、大気から海洋に吸収される炭素の最終的な運命を決定する重要な役割を担っています(生物ポンプ)。

SEA-Questerプロジェクトは、健全な科学と、新しい管理ツールの創出の両方に貢献することによって、課題への取り組みと、北極海域の保護と管理におけるトレードオフへの対処を支援しながら、自然の炭素隔離プロセスによる緩和の可能性を解明します。

同プロジェクトは、持続可能な開発目標、パリ協定、生物多様性条約、欧州グリーンディール、期間中の国連海洋科学の10年に沿う形で、健全な海洋とともにある低炭素の未来の構築に貢献していきます。


<参照情報>
New EU project launches study of “polar blue carbon”
https://www.grida.no/press_releases/115

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