国際基準のGold Standardは、CO2排出削減に関するプロジェクトの「質」の高さに関する国際的な認証基準のひとつです。持続可能な開発への貢献を支援するためのツールで、クレジットの買い手に対してはその「質」を保証するものです。
そのGold Standard(以下、GS)は2024年8月22日、気候ソリューションを提供するドイツのFORLIANCE社とともに、自然に基づく解決策(NbS)の開発推進に向けて、マングローブの植林プロジェクトに特化した新たな方法論”Methodology for Sustainable Management of Mangroves”を共同開発したことを発表しました。
ブルーカーボンに関するプロジェクトのための方法論としては、GSが認める既存の”Afforestation – reforestation GHG emissions reductions & sequestration methodology”(植林・再植林による温室効果ガス削減と炭素隔離の方法論)が利用可能でした。しかし、マングローブ生態系のプロジェクトにはプロジェクトごとに特有の要素が絡んでいるため、それらの細かな違いをすべて考慮するにはマングローブ独自の方法論が必要と判断されました。そうすることでプロジェクトの開発支援がより効率的に行えるとしています。
プロジェクトの開発に地理的な制限はなく、世界中のマングローブ林においてこの方法論が適用可能とされていますが、再植林できるマングローブはその地域の固有種(でなければその地域固有のマングローブに歴史的に関連のある樹種)であることが求められており、最新の”Blue Carbon and Freshwater Wetlands Activity Requirements”(ブルーカーボンおよび淡水湿地に関する活動要件)とも併せて適用するものとされています。
またこの方法論では、炭素除去量を正確にモニタリング・報告するために、リモートセンシングを活用した測定と地上での測定とを組み合わせて使うことが認められていることが特徴です。マングローブ林はアクセスが難しく地上データを集めるのが難しい場合があるからです。リモートセンシング技術を活用することで、マングローブの測定とその影響を定量化することが可能になり、コストや時間の削減にもつながるとしています。
さらに、GSはこのほど、同機関のウエブサイト内に新たな「NbSハブ」を公開しています。このハブには、森林・農業活動により排出量を隔離するプロジェクトを開発したり検証したりしようとするプロジェクト開発者や検証機関を支援するためのリソース・ツール・テンプレートが掲載されています。
<参照情報>
New Mangrove Methodology featuring Remote-sensing Expands Nature-based Solutions from Gold Standard
https://www.goldstandard.org/news/new-mangrove-methodology-featuring-remote-sensing-expands-nature-based-solutions-from-gold-standard
Sustainable Management of Mangroves
https://globalgoals.goldstandard.org/443-bcfw-methodology-sustainable-management-of-mangroves/
Blue Carbon and Freshwater Wetlands Activity Requirements
https://globalgoals.goldstandard.org/204-ar-bcfw-blue-carbon-and-freshwater-wetlands-activity-requirements/
FORLIANCE and Gold Standard Launch Innovative Mangrove Management Methodology with Remote Sensing
https://forliance.com/news/2024/09/03/innovative-mangrove-management-methodology-with-remote-sensing