
琉球大学は、長崎大学、理研食品株式会社と共同で応募した研究課題、「海藻養殖漁場におけるブルーカーボンの高精度定量化と固定能評価」が、科学技術振興機構(JST)の研究プログラム『戦略的創造研究推進事業(以下CREST)』に採択されたことを2024年9月18日に発表しました。
この研究は最長5.5年間の期間で最大2億7千万円の助成を受けて、海藻養殖が二酸化炭素除去に有効であることを証明することを目的としています。CRESTは、日本が直面する重要課題を解決するために、独創的で国際的にも高水準な基礎研究を進めるプログラムです。社会や経済の発展につながる科学技術イノベーションを促進することを目的としています。
海藻は光合成を通じてCO2を吸収・固定する能力を備えています。特に日本では昔からノリやワカメの養殖が行われており、この技術が地球温暖化対策として国内外で注目されています。しかし、CO2を減らすことを主な目的に大規模な海藻養殖を行う場合は、海藻の呼吸によるCO2排出、生態系への影響、経済的リスクなどの懸念から、慎重な意見もあります。そこで同研究チームは、海藻養殖場におけるCO2の吸収・固定量を、さまざまな角度から包括的に評価する必要があると考えました。
研究では、宮城県のワカメ養殖場と沖縄県のオキナワモズク養殖場を対象に、海藻がどれだけCO2を吸収するかを調査します。さらに、海藻が環境中に放出する多糖を測定して、養殖場全体での有機炭素量を正確に把握することを目指します。この研究により、海藻養殖産業のカーボンニュートラル化を促進し、ブルーカーボンのカーボンクレジットをより正確に測定することにつながり、地球温暖化対策への貢献が期待されています。
<参照情報>
琉球大学 研究成果 「海藻養殖が有効な二酸化炭素除去戦略であることを証明する研究がスタート ― 戦略的創造研究推進事業(CREST)採択」(ウェブサイト)
https://www.u-ryukyu.ac.jp/news/60025/