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2023.08.16
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愛南町、ガンガゼウニを食用に活用して藻場造成

愛媛県愛南町の水産業は、黒潮の恩恵を受ける宇和海を巨大な養殖漁場として成り立っています。しかし、各地で見られる藻場減少の進行は、宇和海沿岸も例外ではありません。この課題に対して愛南町が取り組んでいる、ガンガゼウニ除去による藻場造成試験事業をご紹介します。

愛南町では、磯焼け現象が見られる海域で、定期的にウニを除去することによる藻場造成効果を調査しています。その結果、ウニの密度が高く、磯焼けが継続して見られる海域でウニの除去を進めることにより、わずか1年で藻場の形成を確認できたことが報告されています。

持続的にウニの除去を進めるためには、除去したウニを廃棄せずに活用することが不可欠です。まず思いつくのは食用にすることですが、愛南町の沿岸に生息するガンガゼウニは苦味やえぐ味があり、これまでほとんど食べられることはありませんでした。主に海藻や底に沈んだ生物を食べていることが、原因と考えられます。

そこで、捕獲したガンガゼウニに餌としてブロッコリーを与えたところ、苦みやえぐみが減り、甘みが増してまろやかになることが分かりました。また、出荷前に愛南ゴールドという品種の河内晩柑を与えることで、ほのかな柑橘の香りを付けることもできます。

餌となるブロッコリーとしては、出荷時に切り落とされる茎の部分や、出荷規格外のものを用いています。愛南ゴールドは、自然に落下したものを集めて用いるなど、これまで廃棄されていたものを有効に活用しています。

食用にならないガンガゼウニの殻の部分も活用すべく、ブロッコリーや愛南ゴールドの畑に撒いて肥料にする試験を実施しています。他にもインテリア製作などへの活用など、無駄なく利用するための検討が幅広く進められています。

愛南町はブルーカーボンの取り組みとして、牡蠣養殖の際に発生した牡蠣殻を敷設することによる漁場環境改善や、ひじきやひろめが自生している海域での藻類養殖も進めています。


<参照情報>
漁場環境とブルーカーボンをめぐる動き|愛南町公式ウェブサイト
https://www.town.ainan.ehime.jp/kurashi/business/suisangyoko/sonota/marine_environment.html

SDGs(継続可能な開発目標)の達成に向けて取り組むウニッコリーとは|愛南町公式ウェブサイト
https://www.town.ainan.ehime.jp/kurashi/business/suisangyoko/suisanshinko/uniccoli.html

ブルーカーボンに関する取り組み事例