
国連環境計画(UNEP)と国連人間居住計画(UN-Habitat)は、2024年7月、ケニアのラム郡における「ラム・ブルー・カーボン・プロジェクト(Lamu Blue Carbon Project)」を紹介しました。これは、マングローブ林の保全・復元を通じて気候変動対策を推進する地域住民参加型の取り組みであり、2023年にスタートしたブルーエコノミー推進のためのGo Blueプロジェクトの一環として実施されるものです。
ラム・ブルー・カーボン・プロジェクトでは、4,000ヘクタールのマングローブを対象に二酸化炭素の吸収量を測定し、それを炭素クレジットとして販売することで、地域社会へ収益を還元する仕組みを導入しています。年間5万トン以上の二酸化炭素換算の炭素便益が期待されており、地元住民は年間60万米ドル以上の利益を得る可能性があります。また、国際認証機関のPlan Vivoがこのプロジェクトを検証し、グローバル市場での炭素クレジット販売を促進する予定です。
この取り組みは、ケニアで成功を収めた「ミココ・パモジャ・プロジェクト(Mikoko Pamoja project)」や「ヴァンガ・ブルーフォレスト・プロジェクト(Vanga Blue Forest project)」の拡大版であり、地域主導の保全活動が炭素隔離と生態系保護の両立に有効であることを証明しています。ラム郡はケニアのマングローブの65%を擁する重要な地域であり、本プロジェクトは生物多様性の保全や持続可能な開発にも貢献すると期待されています。
欧州連合(EU)の資金提供とケニア政府の協力のもと実施されるこのプロジェクトは、国際的なパートナーシップによる気候変動対策の成功モデルとなる可能性を秘めています。
<参照情報>
Scaling up mangrove conservation in Kenya
https://www.unep.org/technical-highlight/scaling-mangrove-conservation-kenya
Go Blue projct
https://goblue.co.ke/