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日本・世界の取り組み
2023.04.30
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世界経済フォーラム(WEF):ブルーカーボンの取り組みに世界規模でかじ取りを行う新たなイニシアチブを発足

世界経済フォーラムが主導する海洋行動計画(Ocean Action Agenda)は、2023年3月2日、パナマで開催されたOcean Conference 2023(2023年3月2~3日)において、現在世界で需要が急増中のブルーカーボンクレジットおよびプロジェクトへの対応を支援するため、新たなイニシアチブ「ブルーカーボンアクション・パートナーシップ(Blue Carbon Action Partnership)」(BCAP)を発足したと発表しました。

同イニシアチブは、沿岸生態系の再生や保全などに取り組む各国政府に対し、企業や市民団体と連携しながら支援を行うもので、英国政府が4百万ポンド(約6.6億円)の資金を提供しています。

英科学誌ネイチャーの発表によると、ブルーカーボン生態系によって生みだされる富は、全世界で年間1,900億ドル(約25.5兆円)を超えると試算されています。この富が、洪水など気候変動影響にかかる費用を抑えたり、沿岸漁業に欠かせない海洋生物の生息環境を強化したりします。しかし、新興のブルーカーボン市場が急成長することで、持続可能性が重視されなくなる可能性があります。

各国政府は、自国の気候変動対策目標達成のためにブルーカーボン資源の可能性を活かそうと力を入れ、大手民間企業も市場参入に躍起になっています。しかし、曖昧な政策的枠組みや開発費用の問題などの要因によって、高い需要に供給がまったく追い付いていないのが現状です。

BCAPは、各国と協力して、沿岸地域に暮らす人々や生物多様性、気候に利益をもたらす質の高いブルーカーボンの取り組みと供給ルートを促進・拡大していきます。そして、ブルーカーボン生態系の開発が行われる沿岸地域に最も近い場所で暮らす人々が最大限のプラスの影響を受けられるよう、包括的な利益共有を優先するとしています。

同イニシアチブは、以下の2つの規模で活動し、WEFとブルーカーボンに取り組む組織が最近共同発表した「ブルーカーボンの原則とガイダンス高品質化」の実施を通じて、企業関係者と協力しながら投資を促進します。

  • 国家規模:国家としてのBCAP設立(NBCAP)に関心のある国々と協力し、事務局の設置、国別ブルーカーボンロードマップの作成や財政支援を行う。
  • 世界規模:分野を超えて主要なステークホルダーと協力し、政策や投資の課題に取り組む。NBCAP間の進捗状況の共有や連携をサポートする。

<参照情報>
New Initiative to Help Government and Business Navigate Untapped ‘Blue Carbon’ and Restore Coastal Ecosystems
https://www.weforum.org/press/2023/03/new-initiative-to-help-government-and-business-navigate-untapped-blue-carbon-and-restore-coastal-ecosystems/

Blue Carbon Action Partnership
https://www.bluecarbonactionpartnership.org/home

“The blue carbon wealth of nations” 英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」
https://www.nature.com/articles/s41558-021-01089-4

コンサベーションインターナショナル:高品質なブルーカーボンプロジェクトに向けて、「ブルーカーボンの原則とガイダンス高品質化」発表
https://bluecarbon.jp/initiatives/001630.html

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