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2023.07.10
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新潟県、ブルーカーボンを活用して温室効果ガス排出抑制へ

新潟県の水産海洋研究所では、(1)失われた藻場を回復する取り組み、(2)藻場を拡大させる取り組み、(3)持続的な活動にするための取り組みに力を入れています。同研究所のウェブサイトから紹介します。

(1) 失われた藻場を回復する取り組み
1990年以降、沿岸の埋め立てや磯焼けが原因で、新潟県内の海草藻場は減少しています。このうち、埋め立てによる藻場の喪失に対しては、粟島の砂泥地に藻場礁を作るなど、代わりの藻場を作ることで回復を図っています。

磯焼けの主な原因は、サザエなどの巻貝による食害なので、一般的には柵を設置するという対策が取られます。しかし、柵は弱いために維持費がかかるというコスト面のデメリットがあります。そこで、「巻貝は大きく育った海藻をあまり食べないので、海藻全体を保護するのではなく、若い芽が成長するまで保護できればよい」という対策を取ることにしました。トゲ付きネットを、トゲの密度と長さを変えて藻場の周りに設置するという実験的取り組みを行っています。

(2)藻場を拡大させる取り組み
これまでは「藻場=海底にあるもの」と考えられていましたが、同研究所ではワカメなどの海藻養殖場も「広大な藻場」ととらえ、海藻養殖場を拡大することで、藻場を広げる取り組みを行おうとしています。

近年、高齢化や安価な輸入品の影響で海藻の養殖は衰退しており、佐渡島のワカメ養殖も経営体の数が減っています。そこで同研究所では、新たな海藻種の養殖技術や、低コストで多く生産できる技術の開発に取り組んでいます。

(3)持続的な活動にするための取り組み
藻場を増やすという取り組みは直接利益を生むものではなく、海藻のマーケットも小さいため、現行の仕組みでは長続きしないというのが実状です。社会全体で新しい仕組みを導入することが求められています。


<参考情報>
「ブルーカーボンを活用した温室効果ガス排出抑制への取組」
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/329489.pdf
新潟県水産海洋研究所 増殖環境課ウェブサイト
https://www.pref.niigata.lg.jp/site/suisan-kenkyu/gyomu-zouyoushoku.html

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