アメリカ地質調査所(USGS)の湿地・水圏研究センター(Wetland and Aquatic Research Center)は2023年2月10日、マングローブ林を修復した世界各地の370カ所を超える場所で直接現場測定を行った結果をまとめ、再植林されたマングローブ林(マングローブ林がかつてコロニーを形成していた場所で再構築されたもの)は、新たに植林されたマングローブ林(以前マングローブ林がなかった場所で構築されたもの)に比べて、ヘクタールあたりの炭素貯留量が多い可能性があることを示しました。
再植林されたほとんどのマングローブ林で炭素貯留量が多かった主な要因は、マングローブ林の生育場所である潮間帯の位置の条件がよいこと、十分な生育に必要な窒素を多く利用できること、そして塩分濃度が低いことでした。
世界各地のマングローブ林が伐採された地域において、再植林が物理的に実現可能な全面積で再植林を行うと、40年間で671.5~688.8 Tg CO2-eq(Tg CO2-eq:排出される温室効果ガスのすべてが二酸化炭素だった場合の重量、Tg=10億㎏)の吸収が促進された可能性があり、これは同じ面積の干潟などの海辺で新たに植林した場合よりも60%多かったのです。
そのため、同センターは、地球の気候変動を緩和するために自然を基盤とした解決策を設計する際には、マングローブ林の再植林が優先されるべきだとしています。
<参照情報>
Mangrove reforestation provides greater blue carbon benefit than afforestation for mitigating global climate change
https://www.usgs.gov/publications/mangrove-reforestation-provides-greater-blue-carbon-benefit-afforestation-mitigating
本研究の詳報(オープン・アクセス・ジャーナルNature Communications)
https://www.nature.com/articles/s41467-023-36477-1